この世は幻想なのか。
現実が幻想なのか。それとも、現実に対する人間の解釈が幻想なのか。
この二つは違う。
例えば、地震は起きる。建物は壊れる。人は亡くなる。
それは現実の出来事だ。
しかし、それを不幸、悲劇、理不尽と呼ぶのは、人間の認識である。
犯罪も同様に、人間の行為は現実に存在するが、「罪」という概念は人間が作ったものだ。
「この世界は、幻想なのではないか」
これは、単に善悪や罪が、人間の作った概念だという話を超えている。
私たちが現実だと思っている世界そのものが、人間の意識によって構成されたものではないか。
哲学でいう現象と実在、あるいは仏教の「空」にも通じる問題。
「空」は何も存在しないという意味ではない。「色即是空、空即是色」。形あるものには独立不変の実体がなく、空は形あるものと切り離されて存在するのではない、という考え方である。
表層(日常の世界)
喜びは嬉しい
悲しみはつらい
幸福を得たい
不幸を避けたい
犯罪は裁かれる
死は避けられない
根底(私の世界観――観念と幻想)
喜びも幻想
悲しみも幻想
幸福も幻想
不幸も幻想
罪も幻想
生死さえも幻想
現実は幻想かもしれない。それでも、現実を生きる。
現実は、観念であり幻想なのだから、な̇ん̇で̇も̇い̇い̇。
