若い人の起業に変化が見られるようで,社会に対する問題意識から,より良い社会をめざすことを目的とする起業が以前より増えているそうだ(テレビ東京「NEWS モーニングサテライト」).従来は,ビジョンやミッションからというより,個人的な野望や野心のほうが強く,個人の成功,利益が優先していたのが,今の若い世代,たとえばZ世代はビジョンを共有する仲間とともにその実現・達成を目指そうとして起業しているとのレポートだった.ビジョンとは,たとえば,地球環境を持続可能にする,貧困・差別をなくす,弱者救済などで,ビジョンのもとに具体的なミッションを掲げ起業をめざす.そのミッションは,情報技術,その他のハイテク技術,AI,ICTなどと結びつき,学生,院生などが政府や大学の援助を受けながら起業するパターンがあるそうである.

障害となっているのが親の反対らしい(東京大学大学院渡辺努教授).子に大企業や公務員などの安定した道を望み,起業には反対する親が多いとのこと.子どものためを思っての親の気持ちはわかるが,しかし,親の世代とは変わってきていて,大企業や公務員=安定した人生とは限らなくなってきている.そこに世代間の違いや変化がギャップがあることも否定できない.公務員はともかく,大企業に就職しても定年まで勤め上げられる人は何割いるだろうか.

起業することのリスクが就職より大きいことは間違いないだろう.しかし,企業に属せば,自分の情熱や理想だけで仕事はできない.いきなり新規事業を任されることは皆無だろう.組織の一員としての,義務を果たさざるをえないし,何より仕事に収益が求められる.自分のやりたいようにできない,夢や理想は片隅に追いやられる.そのうえ,企業でしていた仕事が職能や経験すなわちキャリアに生かされれれば良いが,活かされなければ時間の無駄,無駄骨だったことになる.

起業も就職も否定することはない.就職してそれから起業してもいい.重要なのは,最終的にはフリーランスや起業できるアイディア,技能,職能,経験を身につけることだろう.就職か起業かの選択は一過性の問題で,就職しても,起業やフリーランスで仕事ができる技能・職能を身につけることが,これからの先が見通せない時代に必要なことだろう.そういう人間は組織も必要とするだろう.だからやはり,リスクは大きくても,理想を追うことにもなる,形態としてフリーランス,起業の数が増えることは望ましいと考える.もし,Z世代の起業がリポートのとおりなら頼もしく日本の将来が楽しみだ.でも,親が障害になってはなあ….また,日本は敗者復活も厳しいからリスクも大きい.

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