死んだらどうなるか

「死ーーー見るもおぞましきもの」(『われわれはなぜ死ぬのか ー死の生命科学』柳澤桂子著)より

 死体は放置されたらどうなるか?
 呼吸は停止し、心臓は弛緩したまま止まる。やがて筋肉が弛緩する。体内の汚物は体外に流れ出す。目はどんより開かれ瞳孔は散大する。遺体はなま温かく透き通るように青い。
 筋肉の弛緩は4-5時間つづき、硬直する。血液の循環が停止したために酸素が供給されなくなり、アデノシン三ミリ酸が分解され、筋肉が収縮したままになるので硬直するのである。
 24時間後には遺体のいろいろな部分にうっ血した血液が死斑となってあらわれる。やがて硬直は消え、腐敗が始まる。まず、屍臭がたちはじめ、死体はふくれあがり、ウジがわく。緑色の斑点があらわれ、遺体全体に広がる。腸内に生息していた細菌が繁殖して遺体を分解したためにできた斑点である。その後死体は水分を失い、皮膚は乾いて皮革のようになる。血液が循環しなくなって最初に死ぬのは神経細胞である。大脳皮質の細胞は心臓の拍動が止まってから7-8分後に壊死をおこす。視床下部の神経はやや長く、75分以上生きている。引きつづき、肝臓、腎臓、腺細胞が変性していく。最後まで生き残るのは皮膚の細胞で、死後2-3日は生きている。髪、その他の毛、爪は死後も伸びつづけてから崩壊する。やがて、臓器は悪臭を発するどろどろのものになって,頭蓋、胸郭、骨盤内を満たす。肝臓は第3週ごろに、心臓は5-6ヶ月めに消滅する。
 体の内部にすんでいた細菌、カビ、ウィルスなどの寄生生物の餌食になった遺体は、次に外から入り込む生物によって喰い荒らされる。ダニ類やムカデなどの多足類、クモ、昆虫、野ネズミなどが饗宴に加わる。
 化学的にみると、からだのなかの水分は、なかに溶解している塩類や細胞とともに地中に染み込んでいく。炭水化物は、アルコール、ケトン、有機酸に分解されて地中に入る。その一部は炭酸ガスやメタン、水素にまで分解されて大気中に放散される。一人の成人の死体が放散するガスの量は5立方メートルにもなる。脂肪は、アンモニアをたくさんふくんだ低級脂肪酸に分解されて悪臭を放つ。
 タンパク質は鎖状の長い分子であるが、短く切られてアミノ酸になる。その一部は、各種アミンやアンモニアになり、さらに硝酸、亜硝酸に酸化される。
 最後まで残るのは骨である。骨はカルシウムを失い、雨水に溶けて消失する。骨がなくなるまでは普通4-5年かかるが、場所によっては数世紀もかかることもあり、歯が数千年も残っていることもある。
 死は私たち身辺に満ちているにもかかわらず、生と死のあまりの隔たりは耐えがたいものに感じられる。
 以上抜粋編集。

 全ての人は死ぬ、プーチンもネタ二エフも例外ではない。
 武器で人を殺す必要などこれっぽっちもない。
(写真:清川村)

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