ジャネの法則
 年月の長さに対する主観的評価は、年齢に反比例するという法則。同じ時間の経過であっても、年少者は長く、年長者は短く感じる。心理学者ジャネが自著で紹介。(デジタル大辞泉)

 心理的に感じる年月の長さは年齢に反比例するという説。例えば、60歳ちょうどの人にとって1年は人生の60分の1であり、6歳ちょうどの子供にとり1年は6分の1。よって歳をとるほど1年の重みが減り、主観的に感じる年月の長さは歳をとるほど短くなる(時間が早く過ぎると感じる)、としている。フランスの心理学者ピエール・ジャネの著作『記憶の進化と時間観念』(1928年刊、未邦訳)で、叔父である哲学者ポール・ジャネの説として取り上げている。(知恵蔵mini)

 「時間が早く過ぎる」、「1年の重みが減る」、「心理的に感じる」、「主観的評価」、「主観的に感じる」、これらをどう解釈するかによって変わってきてしまう。また、「年齢に反比例する」かどうかは疑問だ。減じるのほうが妥当だが、そもそも減じるかどうかについて異論があるだろう。ジャネの法則が正しいとか、間違っているとか議論するのは意味があるとは思えないが、「20歳までの時間≒20歳から80歳までの時間」との見方は,足を止めて考えさせる,つまり年齢と時間の関係を喚起させるという点では意味がある。
 一般的に論じるには,個人差があり、同じ個人でも充実している時間もそうでない時間もある。高齢者でも年の重みが若い人よりある瞬間は、間違いなくあるだろう。心理的や主観的な感覚ではなく、代謝量と時間の関係で考えたら、もう少し客観性が増すかもしれない。つまり時間/体謝。客観的に若い人のほうが代謝量は大きいから加齢とともに時間/代謝は増加する。
 時間の質、年の重み,長く感じる、短く感じる,に単位がないのが問題だろう。その上、時間が充実しているか、していないか、個人差、主観がある。「時間」は視点によって千変万化。年齢とともに時間が経つのが早く感じられる、ことより自分にとって「時間」は何なのか考えるべきだろう。私にとっての「時間」=人生・生きることそのもの。捉えどころがないという意味でも、自分が生きている時間以外関係ないという意味でも。
写真:横浜山手「えの木てい」
 

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