イラスト:Dan Ariely’s column in the Wall Street Journal through Jim Borden’s Blog
ロールズの「正義」は「社会正義」を意味し,「第一の徳」と重視されている.ロールズは,「正義」の第一義を「社会の基礎構造」に置く.そして,社会観(暗黙に国民国家を示唆)と人間観(人間は道徳的に合理的かつ敵理的)に立脚し,価値の多元性を前提とした経済・社会的条件の統御,すなわち「社会の基礎構造」を制御する規範を課題とする.ロールズは,リベラリズム=「自由で自立した個人の結社」+「義務論的前提」+「公と私の区別」+「基本財の分配」に則り,契約論的アプローチを援用して「現実主義的ユートピア」構築をめざすが,「社会正義」はその礎となる考え方であり,また,「正義」の二原理(「公正な原理」)=「平等な自由原理」+「公正な機会均等原理+「格差原理」+「正義に適った貯蓄原理」を導くベースとなる考え方でもある.