「酸っぱいブドウ」 パラドクス

バーリンは「消極的自由」(~~からの自由,干渉の不在)と「積極的自由」(~~への自由,自己実現の理想)のうち,「積極的自由」を安全追求が権威主義を正当化する可能性がある,と批判した.「積極的自由」の三構想のひとつ「内なる砦への戦略的退却」で,禁欲的な自己否定が自由の拡張につながるとして,「酸っぱいブドウ」パラドクスを挙げた.バーリンは,選択肢の存在を自由のポイントとし,一元論を否定し多元論を「より多くの人間的である」と支持,さらに多元論と「消極的自由」の親和性を指摘したが,「消極的自由」も欲望の抑制が自由の増大につながるとの解釈が可能なことから,「酸っぱいブドウ」パラドクスにあてはまり,「消極的自由」の概念を「可能な選択や活動に障害がないこと」に修正するに至った.

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