露の世は 露の世ながら さりながら (一茶)

(訳:現世ははかない.そうなのはわかっているが,それにしても・・・.)

「露の世」が繰り返されているが重複どころか反復法になっている.2歳の娘を亡くした時の句.物故に限らず,悲しいことが起きればだれでもこう思う.悲しいことは誰にも起こりうる.その一茶の気持ちが「さりながら」に全て込められているが,読者はその一茶と自分たちに向かっても「さりながら」とも感じる.つまり,「さりながら」もこだまして反復する,「露の世」,「ながら」に加えてたった17文字に三重の反複.
「雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る」,「やれ打つな 蝿が手を擦る 足を擦る」なども一茶,反復の名人.
さりながら,現世は不条理・・・.

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