人間性を全否定する全体主義に大きな影響を受けているアーレントにとって,「多数性」は最も重要な概念の一つで,一言だと”uniqueness”.全ての人は古今東西その固有性である思想や嗜好が違う.その個が,目的実現ではなく個人の自己開示の場,自己アイデンティティに必要な他者がいる公共空間,「公共圏」(例:古代ギリシアのポリス,アメリカ独立革命期の政治)に存在し,自然本性の政治的自由に「活動」,自己表現をする.「活動」とは,物あるいは事柄の介入なしに直接で行われる唯一の活動力で,「自由」は政治の存在理由であり,全ての人「多数性」が政治に関わることは,必要条件であり最大の条件とし,例にローマ人にとって「生きる」と「人々のあいだにある」,「死ぬ」と「人々の間にあることを止める」が同義語,を挙げている.