韓国外務省の局長が，韓国最高裁が有罪判決を下した元徴用工問題で日本企業の賠償を財団が肩代わりする案を説明した．この財団がどういう財団かわからないがとても大きな譲歩であることは間違いないだろう．今後韓国世論の反応を見，調整した上で実行される段取りだろうが，もし，実行に移せたら日本政府は相応以上の返礼で報いるべきだろう．

日韓の歴史認識問題はどっちが先に譲り，先に譲られたほうがそれ以上の返礼をするか，しかないと思う．慰安婦問題の賠償も村山総理（当時）は基金をつくって賠償しようとしたが，韓国世論が反発し受け取りを拒否，結局うまくまとまらなかった．お金の問題ではなく，国としての責任，補償が問題なのだろう．

日本は1965年の日韓基本条約で解決済み一辺倒にせず，また韓国も併合されたことは一旦忘れて歩み寄れば相互理解は可能なのだが．どちらも体面にこだわりすぎるという共通の精神風土を持つことが災いしている．

本来は日本が一歩譲って先に進めべきだろうと思うが，今回は韓国が一歩譲って前に進もうとしている．岸田首相がその次の一歩をどう踏むか．今後の日韓関係だけでなく，まだよく明らかにされていない岸田さんの政治姿勢，思想・哲学が問われている．大袈裟だが，それは岸田さんの政治家としての存在意義，政治生命にも関係してくる．

安倍首相が戦後70年談話で述べたように，孫や子孫にまで毎回反省やお詫びをするのも終わりにできたらと思う．