横暴，無慈悲な自己中心の暴君であり，虚言癖があり，残虐といえるかもしれない．そして，パラノイア（妄想性パーソナリティ障害）の傾向があると思う．

「MSDマニュアル」によると，”妄想性パーソナリティ障害患者は，他者が自分を利用する，裏切る，または害する計画を立てていると疑う．患者は，いかなるときでも，理由もなく自分が攻撃されるかもしれないと感じている．証拠がほとんどない場合でも，自分の疑念および考えを主張し続ける．
患者は潜在的な侮辱，軽蔑，脅し，および不忠がないか非常に警戒しており，発言および行動に隠れた意味がないか探る．自分の疑念を裏付ける証拠を探して他者を詳細に吟味する．なんらかの形で侮辱された，または傷つけられたと考える場合，患者は自分を傷つけた相手を許さない．傷つけられたと感じて反応し，反撃したり，怒ったりする傾向がある．他者を信用しないため，自律性をもち，主導権を握っていなければならないと感じる．”（一部編集あり）

妄想性パーソナリティ障害かどうかの診断はもちろん私の任ではないが，プーチンにその傾向があるのは明らかだろう．プーチンやパラノイアから離れて一般的に，障がいがあることが明白であれば対処も可能だが，濃厚から希薄までのグレーゾーンにかなり多くの人が存在していると考えるのが妥当であり，その人たちが小さな社会から国際社会にまで撒き散らされており，それが現社会を難しくしていると思う．

ところで，障がいのあることは「悪」ではないだろう．グレーゾーンに属する人も同じく「悪」でなく，正常とみなされている人たちが「善」でもない，とも思う．そもそも，正常とそうでないとの線引きさえ厳密にはむずかしい．ただ，「傷つけること」は「悪」で，それをなくすこと，減らすことは「善」だとはいえるのではないかと思う．

畢竟（ひっきょう，つまり），暴論かもしれないが，プーチンが悪いのでも，ロシア軍が悪いのでもなく，ウクライナの民間人が「善」なのでもなく，民間人も兵士も傷つき，命を落としていることが「悪」であり，それを止めるのが，被害にあって困っている人を助けるのが「善」なのではないか．