国際法・司法制度

国際刑事裁判所(ICC): 国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪(集団殺害犯罪、人道に対する 犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪)を犯した個人を、国際法に基づいて訴追・処罰するための国際刑事裁判機関(外務省抜粋)

国際司法裁判所(ICJ):国際連合の司法機関.国際法に従って,国家から付託された国家間の紛争を解決し,正当な権限を与えられた国連の主要機関および専門機関から諮問された法律問題について勧告的意見を与える.戦争犯罪行為や人道に対する罪で起訴された個人を裁くことはできない.刑事裁判所ではないので訴訟手続きを行える検事がいない.訴訟当事者となれるのは国家のみ.(国連広報センター抜粋)

訴訟を起こせるのはICCだけで,さらに重要なのは,ロシアもアメリカも,ちなみに中国もインドもICCの締約国ではない.そのような司法制度に期待するには限界がある.プーチンの戦争犯罪を問うことは可能だが,元裁判官の尾崎久仁子氏によれば,プーチンを逮捕・召喚することは不可能だろうという.もし,ICCやICJが日本やその他の三権分立国家の最高裁判所のような権威ある絶対的な位置付けであれば,戦争犯罪を裁くことができるが,どちらも極めて効力が限定的.そういう国際法であり裁判制度のもとに国際社会が成り立っていることを踏まえておく必要がある.そもそもアメリカが締約していない.(私見だが,個人の権利,自由,民主化が進むと国際団体に締約する障害になりうる.自由や個人の権利を侵害することになるから.民主国家=善,専制国家=悪では必ずしもない)しかも,締約国も日本が第二次世界大戦前に国際連盟を脱退したように,脱退したら効力はなくなる.だから,非難されてもそれだけのことでしかない.国際法,司法制度が無力すぎる.

だから,何やってもいいとはもちろんならない.国際法や司法制度の実効を高めることにより,戦争や紛争,国際間の揉め事を抑止できる.もし,公正な国家の司法制度および警察機構に近づけることができたなら,国際間の犯罪や紛争に法の裁き,罰則,刑の執行が可能となり,それは国際犯罪の抑止力になるだろう.国際法と国際司法の錬成と効力の向上は,平和でよりよい国際社会の実現への希望のひとつだ.ただ,繰り返すが,その効力は現在は極めて限定的で,不条理な紛争に巻き込まれてただ悲嘆にくれるしかないことを,さらに,非情だが,ただ悲嘆にくれていても仕方がないことを踏まえておく必要があると思う.

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