目が不自由なように頭も不自由

目が不自由だったらその障がいは考慮される.視力が弱かったらメガネなどで補正できる.でも,頭が悪かったら,知的障がい者なら配慮されるが,頭が弱かったら,何かで補正できるか?実際,補正できる器具はない.

図1は全国学力・学習状況調査の中学生数学の結果だが,左に歪んだシェイプになっている.(正解数が少ないほうに裾が長い)また,図2は所得の度数分布だが,逆に所得が多いほうに歪んでいる.数学の点数の低いほうに長いということは,できないグループの分散は長く広い,つまり,できない理由はさまざまでその範囲も広い.また,所得は,低いほうは短く厚くかたまり,多いほうが長く広がっている.多いほうはさまざまな状況が考えられるということかもしれない.さて,分配するとなると,歪んでいるほうの対処が難しくなるだろう.つまり,数学の苦手な人を克服させるほうが,また所得の多い人の負担を多くするほうが,数学の得意な人や所得の少ない人への対応より困難がともないそうだ,よって,格差是正や分配はとても難しいことを認識する必要がある.つまり,所得が極端に少ない人だけ保護(生活保護)すれば良いのではなく,所得の多い人から納得・理解を得られるハンディキャップを設定することも課題となる.さらに,両端だけではなく,平均前後の中間層にも配慮が必要である.

図1

出典:国立教育政策研究所

図2

出典:厚生労働省 国民生活基礎調査の概況2019

学力と所得のヒストグラムは,直感的に理解しやすいので使用したが,論点は,相関があることではない.分配や格差是正は,身近な学力や所得においてさえ,目に見えない,測定不能な能力の差が微妙に存在する,状況がひとりひとり違う,よってかなり厄介なテーマなのである.しかも,学力だけではなく,キャラクターやパーソナリティなどの能力もある.つまり,努力や忍耐,集中できる,明るい,社交的,肯定的などのさらに厄介で繊細な測定不能要因もある.そして,中間層にも配慮が必要である.

とても,完璧な分配や格差是正は不可能なようだが,日本の健康保険など好例もある.健康な人が多い,医療に限定,病気の人に同情的,みんなから徴収して病気の人に使うことに理解が得られやすい.病気にならないから損だということにはならない.健康保険制度がそのまま,生活全般の格差是正,分配にあてはまらないが,何らかの参考にはなるのは間違いないのではないか.

What do you think?

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です