大企業勤務の弊害として,社内人間関係のストレス,社内政治ストレス,無駄な会議,長時間残業,接待する・される,上司の指示に従わなければならない資料作成,雰囲気だけで出世した仕事ができない上司,自分の社内立場だけを考える上司,社外で不要な社内人脈,日報・報告書,降格・地方転勤・系列や子会社への出向・転籍,リストラ.そして,組織の利益が時として正義より優先される.まとめると,人間関係のストレス,特に上司に恵まれるかどうか,自分の好き勝手に仕事ができない,不要と思われる仕事もしなくてはならない,ある一定の年になると将来不安がある.
待遇がよく,福利厚生が充実し,何より自尊心を満たしてくれる大企業に勤められるに越したことはないが,上記のことをストレスと強く感じるかあまり感じないか,個人差がある.強く感じられる人は,大企業向きとは言えないだろう.
しかし,大企業の弊害は多かれ少なかれ生きていく上で必ず付いて回る弊害でもある.人間社会で生きている限り,程度の差こそあれ,なくならない.大企業だけの弊害ではない.そして,大企業に勤めるメリットがある.要はメリットデメリットのバランスが,当人にとってマイナスにならないかどうか.つぶれてしまってはどうしようもない.
大企業は数としては0.3%だが,勤労者に対する割合はおよそ30%(中小企業庁発表2020年4月).全て大企業だけで経済や社会,つまり国家は成立しない.必ず中小企業は必要で,我が国の場合7割の勤労者が勤める.大企業を希望しても(実際多くの人が希望する),希望が叶うとは限らない.一方,3割という数字は必ずしも小さい数字でもない.
才能や運命,努力やコントロールなどとりまく全ての要因のなかで,自分はどこに勤めるか,どう折り合いをつけるか,それは,個人次第ということになる.そして,それだけのことである.繰り返すが,つぶれてしまっては元も子もない.