新型コロナにより重症病床が逼迫する中,「譲るカード」の関心が,高齢者や持病(とくにガンなどの重篤な病気)のある人たちの間で高まっているそうだ.私の場合は集中治療を受けないカード.結果的に他の人に譲ることになるが,集中治療を「譲る」意思と「受けない」意思,どちらに重きが置かれているかの違い.天野ジャッキーだから.(w)
日頃延命維持治療を受けないと意思表示をしていた夫がある日突然脳卒中で倒れ,7年間植物人間状態になっているケースで,奥さんが文書になっていなかったため,夫の意思に沿う決断ができなかった.医師からは回復の見込みはないと言われている.部外者の私は何も言う立場にないが,本人の意思が逆に認められていないと思う,が,本人は意識がないのだから意思が認められるも認められないもない.また,確かに,言っただけでは証拠にならない.治療を受けないという決断を家族ができない気持ちも理解できる.
延命治療を受けない意思表示は家族にはっきり伝え,かつ形に残しておく必要がある.また,そうしても,現実に直面した時家族は悩むことになり,家族が本人の意思に反する決断をすることもありうる.それでも,やはり,残しておくに越したことはない.
こういう意思は,正しいとか間違いとかの問題ではない.ただ正誤に分けられない領域があることを認識するべきだ.また,個人的には「譲る」の意思表示は高徳だと思う.
フェリックス・ヴァロットン La Paresse 怠惰 1896