Blog「バイアス」で中国をバイアスを除いて見るように努めようと思う,と書いた.「ボアオアジアフォーラム」(2021/04/18-21)で,習主席は「世界は覇道を求めていない」,「いかなる形式の『新冷戦』やイデオロギーの対抗にも反対しなければならないと」と演説した.「中国はどこまで発展しても、永遠に覇権を唱えず,拡張せず,勢力範囲を求めず,軍備競争をしない」,また,環境分野について,「気候変動で共に国際協力を進めなければいけない」.もっともだが,本当だろうか?
王毅国務委員兼外相はミャンマー情勢を安定させるため,全ての当事者と対話する用意があるとし,どちらか一方を支援するつもりはないとの考えを示した.軍隊の政権掌握について「明らかに中国が望んでいるものではない」と強調した.また,中国が軍のクーデターに関与しているとのソーシャルメディア上のうわさについて,ナンセンスだと否定した.「中国はミャンマーの主権と人々の意思を尊重し、全ての当事者と接触し,対話する用意があり,緊張緩和に向け建設的な役割を担う」と述べた.欧米諸国は2月1日のクーデターを強く非難している.一方中国は,ミャンマー情勢の安定化が重要だとの見解を示しているものの,批判的な姿勢を取ることには慎重になっている.
日本における共産党員のサイバー攻撃に関与した件では,報道官は「中国は,いかなる国・機構がサイバー攻撃問題を利用して濡れ衣を着せることや,サイバーの安全問題を卑劣な政治的目的に利用しようとすることに断固反対する」,「サイバー空間を捜査する際は充分な証拠を示すべきで,理由もなく憶測するべきではない」と反発する.日本の報道を逆バイアスで見ることもしないので,根も葉もないことだとは思わない.つまり,何らかのサイバー攻撃に関与していると思う.
中国の見せた顔はどちらも正しいと思う.中国に限らないが,このように主権国は多面を持っている.戦争を憲法で放棄している日本の,特に中国との付き合い方はひとつしかない.友好関係を保つことだ.中国の一面だけで判断せずに,日本外交の基本姿勢を堅持しつつ,日本は対立と融和と両面で中国と付き合い,関係破綻は避けないといけない.アメリカとの日米安全保障条約はまずありきだが,それだけではないことも認識し,日本独自の主権国家としての日中外交をする必要がある.軍隊を持たず,戦争を憲法で放棄して,世界で生き残っていくということは至難の業で,それに日本は挑戦している.戦争をせずに中国と付き合う道しかない.
セザンヌ「カード遊びをする人たち」1894-95