国連大使が,「行動を起こしてくれ」と国際社会に訴え,「プリーズ」を3回くりかえした.国際社会はどこまで行動を起こすべきか?どこまで介入する権利があるか?自動小銃を市民に発砲している保安部隊が正義とは思えないが,保安部隊を攻撃する権利が外国にあるか?

これは,ミャンマーのことであってミャンマーだけのことではない.改めて軍事力は国を支配できることを示した.近代国家は政府が軍隊を抑えているが,軍隊が一つにまとまり政権を執ろうと思ったら獲れるということだ.

また,国際社会は国連軍を組織してミャンマー民主化を望む国民のためにミャンマー保安部隊を攻撃できない.主権国家に対する国際社会の対応はどうあるべきか?何ができるか?が問われている.中国はある言い方をすれば,主権国家を尊重して干渉しない考え,ということが可能だろう.逆の見方をすれば,中国は外国から干渉されるのを嫌うと想像される.欧米などの民主国家は,国民を殺害する軍隊に対して人権尊重の立場から,主権国家であっても干渉するということがいえるだろう.別の言い方をすれば,他国であっても人権が脅かされるのを見過ごさない,となるだろう.どちらが正義か?とても簡単な問題かもしれないし,そうでもないかもしれない.これは,米中対立の根幹に通じる.

ミャンマーに戻れば,軍が政権を掌握している状態なので,以前の仮想民主主義(今までも軍が実質支配していたと考えるべきだから)を実現したい人は民主主義の国に亡命するか,命の危険を冒して保安部隊と戦うしかないだろう.

国際社会はひとつにはならないことを改めて示した.中国が強力になったために対立は以前より鮮明になった.日本はアメリカと中国の間に挟まり,コウモリとして常に難しいポジションに立たされる.日本は独自の考えや姿勢を国民の総意として,国外にはっきり表明する必要が出てくるだろう.その上で同じ考えの国と共同して対処していくことになるが,それはヨーロッパやアジアの他の国だろうが,それはまた別の課題である.問題は,ミャンマーに限らず,こういう地球規模の問題,対立は常に存在することで,全ての主権国家の意見が一致するのは,地球存亡の危機ぐらいしかないということだ.それを踏まえて,主権国家として日本の考えや姿勢を明確に国際社会に示していく必要があるが,その前段階の国民の総意をどうまとめるか,独裁国家ではない民主国家の日本政府の力量が問われることになる.さらに,日本国民各々も国際社会における自国のスタンスについて,意見が求められることも自覚すべきだ.それが意味することは,もう敗戦も,奇跡の成長も,経済大国も,バブルも通過して,成熟国の確固としたメンバーになったということになるだろう.

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